定年退職をきっかけに高齢者の生活習慣、運動習慣は激変します。ありがちなのが、毎日の通勤がなくなることで起こる運動不足です。また、めったに外出しなくなることで人と話したり接したりする機会もぐっと減るため、体の筋肉だけでなく表情筋も衰えてしまいます。それでも、若い頃に運動習慣があった人は、なかった人に比べて、比較的、運動に対してハードルが低く、公的な場でラジオ体操や、スイミング、ヨガなどに意識的に通う傾向もあるようです。
日本における高齢者の運動習慣は、年を追うごとに増加傾向にあります。しかし、高齢者の運動習慣については、日々意識して運動をしている層と、まったく運動しない層の両極端が目立つのです。特に高齢の女性は、運動習慣がない人が多いようです。運動を習慣化していない高齢者にとって、運動をしない理由はなんとなくめんどうだから、とりたてて理由はない、年を取り過ぎているからといった理由がほとんどです。運動に対して、とっかかりがなくそのままにしている状態の人が大部分なのです。
現状はこのような状況ではありますが、これは運動習慣のない高齢者も少しのサポートや取り組みやすさがあれば、運動習慣を身につけることができる可能性も秘めていると言えるでしょう。運動習慣のない人の多くは、若い頃から文科系のクラブや部活などを好み、積極的に体を動かす楽しみを経験してこなかっただけなのかもしれません。体を動かす楽しさや、快適さ、その後の体や心に及ぼす効果について身をもって知ると、少しずつ運動を習慣化できる可能性もあるのです。